私はゴースト 原題:「I Am a Ghost」 2012米
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監督:H.P.メンドーサ
主演:アンナ・イシダ
共演:リック・バーカート
ジニー・バロガ
あらすじ
エミリーはベッドで目覚めると、伸びをし、目玉焼きを焼き、食べ。鏡に呻くと、箒と塵
取りをもって廊下を歩く。誰かに呼ばれたような気がして部屋を覗くと、誰もいない。
エミリーは怖くなって走り出す……
私は醤油
評価:中々癖の強い作品ではあるが、面白い!
以下、ネタバレにつきゴチュウイ!
何とも妙な作品である。
この映画の主人公エミリーは、タイトルでネタバレなんだけども、
幽霊なんですな。
で、まあ、
誰かに殺され、成仏できず、延々と同じシーンを反復=迷ってますよっていう
ことなんだけども
割とありふれているな、と。
ところが、この映画、
その先が凄い。
ある部屋にいると、
謎の声が聞こえてくる!
正体は霊能力者の声!
そう、これは
除霊を霊側から描いた作品なのだ。
ああ、あの映画と同じね、というそこのあなた、ちょいと待っていただきたい。
この映画は、
最後の20分位から吃驚するような捻りがあるのです。
正直言うと、そこまでは、
延々と同じシーンが繰り返されるんで、最初のうちは
何かだまし絵のように映ってるのか?
何かが象徴的な物が置いてあるのか?
会話か?はて?
誰がエミリーを殺したのか?親か?
と色々考えてたけど、そのうち
いや、ぶっちゃけ退屈だなって思ったんだよ!
ところが……
以下完全ネタバレにつき更に注意
エミリーは殺されたのではなく、
自殺だった。
何故か
実は彼女は
解離性同一性障害だったのだ!
これが
明かされた瞬間からのホラーっぷりときたら!
ちょっとヘルレイザー・GOFを思い出す
俺はてっきり、
今住んでいる住人の声だと思ってた
階段上からの
アレ
アレ やけに野太いんだもの…
これが実は、
自殺した瞬間に切り離されたもう一つの人格の声だったのだ!
で、それが降りてくんだけど
え?
ちょ…
でかくない?
で
全裸&全力疾走っっっ!!!
ゴメン、マジで怖かったよ……ここすっげー怖いよ…
この監督、何が怖いか、わかって演出できる人だよ…
というわけでですね、
75分の中でホラーといえるのは20分しかないんだけど、その20分の
絶望感というか、ホラー感が
素晴らしいのです。で、
終わった後、かなり色々考えちゃう映画でもあるんですな。
つーわけで、
夏の夜のお供に、ややお薦め!
なんで「
やや」かってーと、
最後はマジで凹むかもしれんからなんですよ。
血しぶきドバブシャー、イヤッホォォォってのとはちょっと違うし、
怪談かってーと、それも違う。
近いのは……もしかしたら
「たたり」かな。
さて、ここからいつも以上に酷い妄想だらけのラスト周りの解釈コーナー
「待ってください、言ってることメチャクチャですよ!」とツッコむのにも疲れた人はバイバイです!
つーわけで、あのラストですよ。
まあね、死後の世界って奴は私は
「あった方が面白い」って人なんですが
はてさて、
本当に光に包まれての成仏なんてのがあるんですか、と。
いや、
死後の世界なんてなありません。わずかに残った意識が無として霧散していくのが成仏って奴なんですよ、ってなオチ…ってのが
一つ目の解釈。
この場合、あの霊能力者の言葉は優しい嘘になるんだよね
この場合、ゴーストはそのまま幽霊
いやいや、あの後、光が射してきて昇天する。
あれが人間に課された
最後の試練なんだよ、と。
だから最後に彼女は、虚無に飲まれまいと
私は幽霊、ていうのが人であるための鍵ってのが凄いよな
今、彼女が
「人間として」持っている唯一の確固たるものを唱えたのだ…ってのが
二つ目
この場合のゴーストは「人の影」「魂」って意味かな
三つ目は、エミリーは消えなければならない、という解釈。
ラストで家ごと虚無に浸食されていくのは
別れた人格が統合されていく表現なのではないか?
要はですね、最後の最後に、発狂したあの人格が普通の顔になってたのは
自分が何者かを理解したという表現ではないのか、と
エミリーが今まで観ていた世界自体はエミリーが作りあげていたのではないか。
恐らくエミリーが死んでから相当時代が経ち
内装だってあの通りじゃないわけで、要は
画面に映っている全てが幽霊なのだ。
荒木先生、続編お願いします
記憶で場所を作り上げ、そこに引きこもる、というその行為全てをひっくるめて幽霊なのだ。
それが、崩壊していき、エミリーはあのラストで解放されたわけだけど
エミリーも「片方」でしかないから、
統合され消えていくしかない。
成仏するのは「
あの後に産まれる統合されたエミリー」なんでしょうな……
この場合のゴーストは「痕跡」「幻」かなあ
んで、
最後
エミリーは幽霊ではない。
ある人物の、分裂した人格。
「私は幽霊である」「私は成仏しなければならない」「私はもう一つの人格を受け入れなければならない」という
カウンセリングを受けている真っ最中である、という解釈。
あの殺人鬼はエミリーから更に別れた孫人格なのではないか?
勿論、最後はカウンセリングが成功し、殺人鬼はエミリーから「強引に」別れた人格であると悟り、消滅。エミリーも「
カウンセリングの為に作り上げられた場」と共に主人格に統合されるために消滅していく……という解釈。
この場合も「痕跡」かな テレビのゴーストっぽいかな…切ねえ
さて、皆さんはどれでした?
…まあ一つ目だよね