FILE-02【震える幽霊】
2012/08/03発売
実験だよ実験!
あらすじ
工藤のもとに届けられた一本の投稿動画。
それには廃墟で肝試しをする四人の男女が映っていた。暗闇の中、散策をしながら黄色い悲鳴を上げるカップル。だが、
ある部屋で異常事態が発生!
調査に乗り出した工藤達。だが、カップル四人のうち一人が失踪。件の廃墟での異常現象に加え、
謎の人物の出現。そして驚愕のクライマックスが!
評価:
ここまで先の展開が読めなかった作品は、今までの人生で無かった
なんだ、幽霊ものか…あー、まあ、今度はバットで殴るわけにもいかないよねえ…
なんて馬鹿にしながらDVDつっこんだ奴は誰だ!?
俺だぁ!!
間抜けがぁぁぁぁ!
いや、うん、この話って、実は後へ伏線を張ってる「だけ」なんですよ。
だから感心できないんだよ!
でもさ、
なんでこんなにゾクゾクできるのか…
白石監督作品群の中でも
「あるグループ」ってのがあるんですが、それは
「人知を超えた存在が、別の世界からこの世界を狙っている」っていう奴なんです。
簡単に言っちゃうと
「クトゥルー神話」ですな。
で、登場人物たちは、
「無茶苦茶な超常現象にガンガン巻き込まれ」そして「
途方もない話の末端部分で実はドタバタをしていた」ってのが端的に示されて、終わるんですな。
こんな感じ
で、この話は、廃墟の幽霊話だったのが、いきなりそっちにシフトチェンジする!
今までの非日常が、日常に見えるくらいの、非日常へのシフト!
しかも、使ってくる道具がよりによって
スカイツリー!
ってことで、いきなり匂ってくるある要素!
そう、荒俣宏臭だ!
もう、あれだ、ノーベル賞やろう!
地脈!
霊的エネルギーを集める建物!
霊的に改造された人間!
それを極秘裏に進めていた謎の人物、センセイ!!
抜群の存在感
シム・フースイだぁぁ!
東京龍大好きです!
帝都物語だぁあぁぁぁ!
荒俣作品のテイストをふりかけた現代を舞台にした作品なんて、絶対に無いと思ってた!
なのに、ここにはそれがある!
しかもよく考えてみりゃ、工藤のキャラは
ひじょーに荒俣作品っぽい!
人格に欠陥がある無頼漢 似合うな!
なんだこの喰い合わせの良さ!?
80年代、それまで胡散臭いボンヤリした物だったオカルトに、
良い意味でも悪い意味でも大量の知識で形を与えてしまった荒俣宏。その影響下で生きてきた私にとって、
工藤がセンセイに敵愾心をむき出しにするのは、なんか、すげーわかる(笑
ほんとに、荒俣先生の小説に出てくる悪役っぽいんだよ!
ってか、ぶっちゃけセンセイ荒俣顔なんだよ!
というわけで、個人が対抗しうるはずもない巨大な陰謀に対し
工藤が一歩も引かなかったが故に、今回は
多大なる犠牲を払うことになり
そして人を煙に巻いたような
衝撃的なビジュアルをかまして終わるわけなんですが……
うん、荒俣宏ファンだから言うけど
もう世界がヤバイ感がビンビンに漂ってるのね。
その癖、世間はまったくの通常運行……
こ、これぞコズミックホラー!!!
…ってなわけで、これまた超絶お奨めです!
後の劇場版コメンタリーにて
「エッチなシーンがあるからツタヤに置いてもらえないんですな、ワハハ」と監督が仰っておりましたが、今ここを読んでてまだ観てない人で、荒俣作品ファンはどんな手段を使っても良いから絶対に借りていただきたい!!