劇場版・序章【真説・四谷怪談 お岩の呪い】
2014/04/02発売
おい!田代!お前も来い!!
あらすじ
前回の花子さん騒動を無事発売にこぎつけた工藤達。一同はそこに映った異界が、
記憶から消えていたことに驚愕する。
そんな折、届く投稿映像。そこには謎の人影が写っていた。実はその投稿映像は映画撮影スタッフからの物であり、その映画は
お岩さんを題材にしながら、お祓いをしなかったのだという。
調査を開始する工藤達。だが、市川の目に……
評価:
大変面白い!
私は四谷怪談が好きだ。映画だと
「四谷怪談 お岩の亡霊」が大好きで
佐藤慶がいいんだ!
小説だと京極夏彦
「嗤う伊右衛門」が愛読書である。
そんな四谷怪談をネタにする!ツイッター上で監督から発表があった時に、物凄く驚いた。
四谷怪談、と言えばオカルト界隈では「祟る」ことで有名だから…とか、そういうことじゃなくてですね、
あれだけ一部の隙もなく完成した話を、よりにもよってコワすぎにねじ込めるのか?と思ったわけです。
コワすぎってことは舞台は現代。
え?祟り云々は置いといて、
お岩さんと工藤さんが激突すんの?
それって、
下手したらギャグになっちゃわない?
まあ、河童もギャグっちゃーギャグだったが
正直、今回は流石に…と思っていましたよ。ええ。
ところが!
白石監督とんでもない調理の仕方をしてきたんですよ!
東海道四谷怪談ってのは、
鶴屋南北の創作物であるってのは周知の事実なわけですが、白石監督はそこから切り込んでいくのね。
つまり、
語り継がれるキャラクターは「形」を獲得してしまう、と!
で、
その「形」を「憑代」「出口」として「あっちの連中」が干渉してくる、と!!
これって、
今までの「口裂け女」や「花子さん」の説明にもなってるわけですね。元々は人間だったり、架空の存在だったりしたものが、噂として「形」を得、「あっちの連中」が干渉してくることによって
「異形」や
「力場」になるわけです。
そして「お岩さん」は鶴屋南北によって
「恐らく意図的に作られた」「力場」だったというわけだ。
そう、遥か昔から、
こういう「力場」を作りあげる人間がいたのである!
ってわけで、なんとコワすぎは「お岩さん」を通して
オカルトSFの要素を獲得しちゃうんですな!
もう、完全に荒俣先生の世界
って事で皆さん、オカルトSFと言えばこれ!
エクソシスト2ですね。
それのパロディがガツーンとぶっこまれるわけでございます!
砂漠の真ん中に亀がいます…
日本映画において、これのパロをやったのは
「リング2」ってのがあったんだけど、あっちはいい線まで行ったけど、ビジュアル的にアレな感じで終わっちゃってたんですが……
いや、本家のイナゴブンブンが強すぎるんだよ
今作、白石監督は機械+霊能力の除霊シーンで「お岩さん要素」をぶっこむことによって、ビジュアル的に大変見ごたえのある物に仕上げてきてるんです!
ここで戸板返し!ここでか!!
勿論これだけじゃない!
「他の人へ発注したらパワーアップしちゃった」という
嬉しい誤算の異界描写や、中盤にさしこまれる、
狂人からの逃走!
これがまた素晴らしい!
出刃包丁もった狂人に全速力で追いかけられるPOV映像!あったか、そんなの?
まあ、足は遅いんですけどね
またノロイファンにはニヤリとできる
「気持ち悪い家」、「シロメ」繋がりの
「あの人」も絶好調!とまー、大変楽しいことになってるんですな!
吉田経人さん!
というわけで、
伝奇もの完結編第一話としての「繋ぎ」ではあるのだけれども
発想や着眼点が楽しい、コワすぎでしか実現しなかった極めて珍しいテイストの話になっていると思います。
お奨め!
俺達も「形」を獲得しつつあるよなあ