とりこっと・でらもるてさんからリクエストをいただきました!
デモンズ95 原題「Dellamorte Dellamore」英題「Cemetery Man」1994伊・仏・独
監督:
ミケーレ・ソアヴィ(
アクエリアス・デモンズ3
アクエリアス、めっちゃ好き!
主演:ルパート・エヴェレット
当ブログ的にはGOGO!ガジェットの変態博士!
フランソワ・ハジー・ラザロ
ナギ最高!
アンナ・ファルチ
あらすじ
共同墓地にして、相棒ナギと共に墓守をするフランチェスコ。だが、その墓地では埋葬された死者が7日以内に復活する異変が起きていた。
リターナーとフランチェスコは彼らを命名。日々彼らに再びとどめを刺す日常を送るのだが、ある日、美貌の未亡人が現れる。
そして、
市長の娘を巻き込んだ大事故が起こり、
フランチェスコの
日常は加速度的に崩壊していく……
評価:ホラーではなく、
ファンタジーとして傑作
以下、ネタバレ多数につき御注意!
え~、世の中には人にお薦めにくいんだけど、個人的に大変面白い映画ってのがありまして、私的に言いますとセルジオ・ステバレッティの
「肉の蝋人形」なんかそのど真ん中でございますが、そのセルジオ・ステバレッティが本来のお仕事であります特技監督で参加した本作も中々に
胸を張ってお薦めできないんだけれども
とても面白い映画でございます。
上記の粗筋や、静止画、予告を観ると「ちょっとだけ捻くれホラー映画」のようなんだけど、
いやいや
もう、ね、異端の作品、という名称がこれほど似合う映画は無いと思うのよ。
ゾンビが跋扈するが、それが徘徊するのは
墓地限定。しかも彼らは自我があり、喋れるのだ!
凶暴であり、人を殺し、そして頭を撃たれると死ぬ!
うん、生きてるやつと変わんなくね?
という命題がぼわ~んと漂っている
ゆる~い空気に、張り詰めた表情のルパート・エヴェレット。
しかし横にはのほほんとしたナギ
無茶苦茶綺麗な、それでいてファンタジックな美術と醜悪なリターナー
そのリターナーにしたって、いわゆる呆けたようなゾンビが少なく、なんか色々な束縛から解放されたのか、
生きている時よりも生き生きとしたアホ丸出しのやつが多くてですね
首だけ少女の怪?
バイクまでリターナーかするってのがまた
個人的にコイツが大ウケ!ボーイスカウト火おこしゾンビ!!
全体として色んな物の線引きが曖昧とした世界がばちーんと構築されているわけです。
で、そんな中で実は間違って生きている人間を殺してしまい
フランチェスコは、もうしっちゃかめっちゃかになっていくわけでございますな。
うん、
感情移入とか無理なのよ。
で、それ故に
ちっとも怖くないのよ(涙
だからして、ホラー…ではなくてですね、ファンタジー……だと思うのよ。
昭和世代としてはどうしてもファンタジーってーと剣と魔法の世界に行っちゃうんだけどさ
というかね、この映画、前述の混沌かつ曖昧模糊とした要素の数々で、
(このブログではおなじみ)
人によって見え方が全く違う映画なんじゃねーかな、と。
政治的な寓話、人生についてのブラックユーモア、ベッタベタなギャグと陰惨な描写
娘の死体を次の選挙のポスターに使おう!
深読みすればするほど、
観ている人間の内面を映す万華鏡のように
きらきらと変わってゆくわけでございますな。
というわけで、
個人的には大変お奨め!
でも、こう、
ホラー!って感じじゃないんで、刺激をお求めなかたというよりは、こう、ちょっと
妙な映画が見たいって人は即購入!ですかね
さて、ここから先はいつものやつですんで
視聴済みの方で、なおかつ物好きなかたのみお読みくださいませ
いつもの妄想がはーじまーるよー
このデモンズ95は元は、イタリアのコミックを基にした映画なのですが、私は大元のコミック自体を読んだことが無いので、どのくらい忠実な展開なのかまったくわからなくてですね、更にソアヴィ自身はこの映画にそんな意図はしていないと思うのだけども
この映画、今見ると、
創作物のキャラクターについて語った映画
に見えるのよね。
創作物の登場人物は生きているのか死んでいるのか?
創作物という絶対のルールから抜け出せないけども、我々が創作物に接する時、確かに彼ら彼女らは私達の頭の中で喋り、行動し、生きているのではないか?
フランチェスコは、まるで毎週毎週少しづつ違うけども同じ展開の漫画のような生活を営み、そこから決定的に外れようとしても、ルールがそれを許さないのだ。
フランチェスコ!今、上で変質者が看護婦と医者を殺した!
お、銃か!それで身を守れ!
そして世界から抜けようとしても、作品の外に、彼が辿りつくことはないのだ。
2013年日本公開のディズニーアニメ映画に「シュガーラッシュ」という作品があった。
あれは創作物のキャラクターが、自作品を飛び出すことができるのだけども、
それ故に
自分と向き合う作品だった。
流石ディズニー!
だけれども、リアルに考えればそんな事が出来るはずもなく
この映画のフランチェスコは飛び出すことも、自分と向き合う事すらもできずに映画は静かに終わっていくのである。
そしてフランチェスコの世界は今日も誰かのデッキの中で再生ボタンと共に始り、静かに終わっていくのである。
彼が眺める最後の断崖の向こうには我々がいる。
だけれども、そこに住んでいる我々は、下手をするとリターナーよりも死人然としているのではないか。
だからしてナギの最後の言葉
もう家に帰してくれよ
これは、もしかしたら我々が「天国」とか「楽園」とか
「あー、こういう世界に行ったら俺も大活躍なんだけどなあ」と憧れる世界住んでいる人間の
「人の気も知らないで」という
きつい一言に聞こえる……
ような気がしません?
しません
1. 死と愛/デラモルテ・デラモーレ
ベストフレンドうウェディングでめっちゃカッコ良かったルパート・エヴェレット/フランチェスコ・デラモルテも勿論良い味を出しているのですが、それ以上にナギ&首だけヴァレンティーナが可愛くて堪らないんですよね。
終盤の友人の病室シーン「誰だ知らない、出て行け!」後のベッドの周りが真っ黒で何も無い場面をはじめとして、シュールな映像が中毒になりそうな作品でした。
初見の時期は両親の執拗な早く結婚しろ攻撃に耐えかねて二次コンの私が現実を見ようとして結局挫折していたので、ラストの「外の世界なんて初めから存在しない!」が自分とリンクして一番大好きな映画になりました。
Re:死と愛/デラモルテ・デラモーレ
今観ても綺麗なシーンは綺麗だし、ギャグはちゃんと笑えるし、ラストは色んな意味の溜息が出ますねえ……
こういう一体何味なのか判らないし、不合理なんだけど納得できるエンディングの映画、僕は大好きです。
この作品をリクエストしてくださってありがとうございました!