あらすじ
第一話
突然の雨に降られた私は、目に入った一軒家を目指す。
ノックに反応は無く、寒さに震えた私は家の中に入る。
だが、その家は無人ではなかった…
 




第二話
車に揺られるアーミティッジ博士。彼はダニッチの村を眺めながら
図書館に侵入して食い殺された異形の男の事を思い出していた…




第三話
私は一族が集まる港町に帰ってきた。夜も更けたころ
一族の物達は連れ立って地下に降りていく。私もそれに続いた…






評価：隠れた傑作！

画二メという企画がある。
東映アニメーションが色々な人を招いて
ちょっと変わった尖った作品を作らせる企画だ。
これはそれの第一弾にして、なんと人形アニメ。
いや、ほぼ動かないので、アニメと呼べるかどうかはかなり怪しい
ジオラマに人形を置いて、煙を出したりゆすったりしているだけ
なのに…
なのになんでこんなに面白いのか!?
しかも三話合わせて50分弱しかないのに
三話ともどっしりとした見ごたえがあり
強烈な印象と、肝心な事だが
きっちりと怖い！
これはクトゥルフ物で肝心な
「我々の脳にゆだねる」というポイントが
しっかり守られているからであり、
それを最大限発揮させるための演出であり、デザインのつるべ打ちなのである。
まず、登場人物のデザインがこんなの

で、それがこんなジオラマにポンと置かれた日にゃあ！

ガキの頃に読んだらトラウマ確実な絵本のごとき映像！
そこに被さる、これまたどんぴしゃな俳優陣による声!!
いやー、素晴らしい以外の言葉が見つからない！

んでは個々に観ていくとしましょうか！

第一話
原作の家の中の絵は、正直あんまり面白くなかったんだけど
映像化されたこれは、本気で怖いものになっております。
手書きのような、禍々しいセットもさることながら
やはり、ミッキー・カーチスの演技がずば抜けている。
最初はおしゃべり好きの親父なのに、段々弁舌滑らかになって行き
気が付けば、ド直球の狂人と対峙していることに気づかされる
後半数十秒！
原作であった「救い」の手前で終わるってとこが
またわかってるね～って感じ
この顔と笑い声…

第二話

約20分！

あのダンウィッチを20分で!?
ところが、これが見事にダンウィッチしてるのだ。
昔、ダンウィッチを同人漫画にしようと考えた時に
短く編集するとしたら…と考えた通りの話運びで
大変納得した。
ダンウィッチの原作は中盤からモンスター映画になるのだけれども
その要素は薄い。だが、その部分をとっぱらたことによって
ずっとクライマックス状態が続く！
そしてさらに素晴らしいのは
映画の予告でおなじみ遠藤憲一を起用したことだ。
あの独特の渋い落ち着いた、
どこか寂しそうに微笑してそうな声！
それに被さるギターの切ない音色！
この作品は、原作を読んだ時には全く想像もしなかった
独特の寂寥感を味わえるのだ。
これは映像でしかできないことだ！

これですよ！

弟さんの造形も素晴らしい！

第三話
原作と途中までは同じ。
正直、前二作と比べて目立ったとこもなく
まあ、それでもすげーなーと観ていると
なんとまあ……
ニャルラトホテプ？
というわけで、主人公も観ている我々も発狂して
ゲラゲラ笑いながら原作とやはり違って
投げっぱなしで終わるという
完璧な幕引き

はー、もー、最高ですわ


というわけで、クトゥルフ神話を知っている人なら
お奨め！
個人的には陰州升と同じくらい好きですね！
クトゥルフ物を人形劇/絵本風に演出ってのは目から鱗
いっそ、この調子でラヴクラフトが書いたものだけでも
全部映像化してもらいたいですね！
このスタッフでの超時間の影は観てえなあ～！
ねくろの未婚