最終章
2015/04/11公開
あらすじ
前回のラストから一年半。一人になった田代はライブ配信を敢行。現在、東京で起きている異常事態に対し、生の情報を集めようとする。だが、放送中に
謎の男が出現。ライブ配信はとんでもない状況を中継することになる……
評価:
大変素晴らしい最終回!個人的にはある場面で泣いた!!
というわけで最終章である。
実の所、前回までで工藤の物語は完結してしまっているし、工藤と市川不在であるから、どうやって話を転がしていくのか観るまでは
「あー、ここまで奇跡的に面白かったけど、まあ、劇場版もヒットしちゃったし?何つーか資本主義的なあれに白石監督もむにゃむにゃ…無理やりな続編でむにゃむにゃ…」
なんつってDVDつっこんだ私でしたよ。
ところが…
無茶苦茶面白かった!
そして感動した!!
ってかぶっちゃけ泣いちゃった!!!
いや、話自体は今までの中で一番単純なんだよ。
世界崩壊の危機を工藤達が何とか救う
ね?よくあるやつでしょ?
私もね、終末物の映画を何本も観てきましたよ。
そう、例えば普通のB級終末ホラー映画だと
「世界の片隅で起きているハルマゲドンを阻止する」っていうものじゃないすか?
ところが今作は
「どう見てもハルマゲドン状態を、世界の片隅で阻止する」という非情に変わった作りになってるわけなんです。
となると、
物凄くスケールがでかいけど、せせこまい展開になってくるわけでさ
普通の映画は
低予算だから!ね?
という、
ファンとの素敵な暗黙の了解でなんとかするんですよ
それは素晴らしい事なんだけどね
でも、白石監督はそれを良しとしない。
徹底的にやる!
でも予算が無いのに、一体どうするの?
そこで
実況っていう状況が生きてくるわけです。
白石監督が我々にぶちかましてきたのは
ニコニコ生放送のコメントを観て閃いたという
観客参加型リアルタイムハルマゲドン映画
NO1よりオンリー1の白石作品とはいえ
あまりに特殊すぎて、もう、なんと褒めていいのかわからんわ!
つーわけで状況を細かく書くと
①工藤と市川を復活させるために田代が謎の男の助けを借りて、なんとかするぜ!
4つのミッション、その1
その2
その3
その4
②
復活したんで、過去の因果をなんとかするぜ!
工藤の両親説得中
③
何とかしたが連中が妨害してるんで、なんとかするぜ!
史上最高にアホな構図
④
イデ発動!みんなで一緒にスターチャイルド!!
いやー、これだけの内容を
リアルタイムでやるわけですよ!
もう、異常なスピード感が溢れてるわけ!
しかも
世界が80分位でどんどん壊滅に近づいていくんだぜ!?
で、
俺達はそれを黙って観ているしかないんだぜ!!?
この怖さ!そして妙な昂揚感!!
世界の終末から再生にかけて、文字通りネットで
「祭り」状態になっちゃうわけです!!
メランコリアも真っ青だよ
いい意味で狂ってます!
しかも、まあ、それでも話自体は終わってるしなあ…なんて思っていたら、あんた!
前回の悲劇に終わった両親との別離を、今度は和解に持っていっちゃう!
そこで、
前回の決め台詞が生きてくる巧さ!
そして、その背景で進行中の
ほんとにしょーもない大林ギャグ(笑
ここで転校生かよ…
ついでに言えば
河童事件の時の陰陽師、鈴木さんが娘と異空間で再会!
帝都物語の加藤に位置する「センセイ」遂に撃破!!
と、まあ、最後の最後まで
サービスのてんこ盛り状態!!!
で、最後は
満点の夜空に花火を打ち上げ
満面の笑みで終了です!
そう、我々が体感したかったものの、
行きつく先はここなのだ。
観てみたいけど、絶対に起きてほしくないこと
そこに白石監督は連れてきてくれた。普通の連続ものなら、あの
Xファイルですら避けた世界の終わりに、登場人物と一緒に連れてきてくれたのだ!
そして、その先も示してくれたのだ。
もう、ただひたすらに感謝!
感謝としか言いようがない!!
素晴らしい!!
100点!!!
さて、以下は「ある場面で泣いたんじゃあ」という実にキモい状況に関して、実にキモい文章が載っておりますんで、
目が腐ると感じた直感の正しいあなた!
これにて、バイバイ!
お奨めですよ!!!
はい!
え~、つーわけで、どこで私が泣いてしまったか。
まあ、ここ読んでる人は何となく察していると思いますけど
今回の冒頭から出てくる謎の男、
江野君との別れのシーンです。
これがね、本当に泣けた。
この江野君ってのが、田代の事を
「白石君」って呼ぶんですな。
2009年に
「オカルト」という作品があったんです。
これが、まあ、凄まじい作品で
ともかく人を不快にさせるんだけど、それでいて、異様に身近な感じがするんですわ。
その映画のテイストを一身に背負っていたのが
江野君だったんです。
こいつの
あ、こういう奴…いる!
って感じ!色々な人に奨めたけど、観た人間全員が
「俺、こういう奴知ってるわ」と感想を言ってきました。
そんな江野君ですが、「オカルト」の最後でとんでもないことをやらかして
とんでもないことになって映画は終わるんだけど
その江野君が、
「白石君に恩を返しに来た」っていうわけですよ!
「オカルト」は白石監督が本人役で出ていいて、結果、江野君と共鳴してしまうという
「ありふれた事件」ライクな展開になり、今まで友人がいなかった江野君が白石監督を友人と呼ぶんですわ。
あの映画の異様さは、
完全に異常者の江野君が、それでも純粋な部分があって、それを白石監督のカメラを通して、私達も観ちゃうって所でして、だからこそ、あの
ギャグみたいなラストで、私は絶句しちゃったわけですよ。
あれ?俺、江野君のこと好きだったんだ!
そんな江野君が、
狂人であるが故に、狂ったシチュエーションをぶっ壊せるという「オカルト」のファンには
首が千切れるくらい頷ける理由で降臨!
そんな江野君が!
また、どっかで会おうや、白石君!
あの瞬間の江野君の
表情!
田代が自分が白石じゃないと否定せずに
うん!
あの瞬間の素晴らしさ!
実は今回は、もう一人重要な人物が出ているんです。
それは
「ノロイ」の主人公である「小林」です。
彼はあの映画の後失踪したのだけれども、なんと終末の空の下
工藤復活の鍵である生き人形を抱えて出現するのだ!
10年ぶりかな?
つまり、田代は
白石監督の異次元同位体で、彼は
「ノロイ」と「オカルト」の登場人物に会うことができ、彼らに
「助けられた」ってことなんです。
まあ、小林さんに関しては強奪ですが(笑
そして江野君は白石監督に
「またどっかで会おうや」と言うんですよ!
自分が作ったキャラに、また会おうって声をかけられるなんて……
思い返せばコワすぎは最初から
「隠れ要素」があったように思えます。
それが
「白石監督の創作姿勢」ってやつでして
「創作者としての責任」といいますか、言葉にするのは大変難しいんですが、白石監督の作品群を見ていると
「お話やキャラクターに対して、大変真面目に向き合ってる」と感じるんですね。それ故に、話自体が飛躍できなくてこじんまりしてしまうことも多々ある。
これとか…面白いけど…面白いんだけど……
それが、クトルゥフ的神話世界という、思う存分キャラを暴走させることができるフィールドを得て、その中でキャラクターを大切にし、出てくる怪物を大切にする。結果、
キャラが暴走すればするほど、勝手に話が出来上がって進んでいくような力強さが満ち溢れていく世界が構築されていった。
つまり工藤ってキャラクターが、ちゃんと世界の中心にしっかり立っている。だからこそ、他の作品から助けが来ても
「違和感が生じない」んでしょう。
江野君の到来と別れはコワすぎ全体から見たら
些細な事だ。
でも、その些細な事は、
私の中では世界の再生よりも素晴らしい奇跡でまさに
「浪漫」だったんです……
さて、長くなりましたが、そんな
些細な素晴らしい事を実現させてくれたコワすぎに本っっっ当に感謝しつつ第一期感想終了でございます!
ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!
では第二期の感想で!!