キャロムショットさんからリクエストをいただきました!
リメインズ 美しき勇者たち 英題「YELLOW FANGS」1990日
監督:千葉真一
主演:真田広之 村松美香
共演:菅原文太
夏八木勲
蟹江敬三
長門裕之
アラスジ!
大正末期の北国。すやすやと眠る夫婦に迫る
黒い影!
物音に目を覚ました妻は、馬が外に逃げ出すのを目撃!
「あんたぁ、馬っ子がにげたぁ!」
「……馬っ子がにげたぁ?」
寝ぼけ眼で起き上がる夫。だが、
木戸の影から巨大な熊襲撃!
夫、頭ガツーン!
ドバブシュー!
そんな
即死状態の夫に取りすがる妻に情け容赦なく襲いかかるクマー!
着ぐるみ感満載のクマーーーっ!!
シュリンジみてえ
鳴り響く半鐘!集まった村人たち!
パニック!
ゲロ!!
みちゃなんねえ!
そんな中、
ショッキングな事実が!
なんと、妻の死体は持ち去られていた!
追跡する村人たち。しかし、発見した熊に逆襲され、危機一髪!
だが、鳴り響く銃声とともにマタギの一団が現れた。
逃亡する熊を見やりながら、リーダーの
菅原文太は呟く。
「あらぁ、
アカマダラだぁ……
奴はおなごしか食わねえ……」
アカマダラを追跡するマタギたち。だが、その前に一人の女性が……
評価:
面白い!だが、
全体的に難あり
以下ネタバレにつき、未見のかたがたはみちゃなんねえ……
はいはいはい、このブログでも、いずれがっつり紹介するつもりでした
クマ映画、遂に登場でございます。
まあ諸説色々ありましょうが、とりあえずここでは
クマ映画とはグリズリーから始まる、アニマルでみんなパニック映画と定義いたします。
テンプレとしましては、
1:むやみやたらと凶暴かつ凶悪なクマが出現
2:人がガンガン死ぬ
3:最後には人間がからくもクマを倒す
といった感じです。
んじゃ、
サメ映画と同じじゃん、とお思いのそこのあなた
大体そうなんだけど、実は
ちょっと違うんでございますよ。
あのですね、
サメ映画のサメって、存在がファンタジーなわけですよ。
あんなにでかくて凶悪で、執念深いサメなんて現実にはいないんですよ。
特定の一家をストーキングするサメなんていないんですよ!
ところがクマは違う。
クマ映画のクマは、予算の関係上、さらには
調教可能という面も合わせて本物を使うわけですな。
で、皆さんご存知、
凶悪なクマ事件の数々から考えても、マジで
異常に執念深いのね
あの某山岳部がクマに追われる事件は怖いよなあ
つまり、クマ映画って、
割と本当にあってもおかしくない事件の展開といいますか
妙に生々しい映画に見えてくるのね。
そりゃ、
ミュータントクマとか
バズーカで木っ端微塵とか、映画的な脚色はありますけどね
基本、
クマさんが普通の人々を追いかけ回し、老若男女、分け隔てなくガンガンぶっ殺すわけだ。
更に、サメ映画では御法度といいますか、直接描写はジョーズpart1ぐらいしかなかったんじゃないかなっていう
子供への襲撃。これがフツーに起きちゃったりする。
だって実際の事件でも、メッチャ殺されてるし、クマにしたら
襲いやすい弱い獲物なんだよね。
まあクマ映画作ってる人達の倫理観がアレな可能性もあるんだが
で、まあ、我々日本人としましては、クマと聞けば
三毛別羆事件がポンと出てくると思います。
(ご存知ないかたは自己責任でお調べください。かなりショッキングな事件です)
羆の中ではそんなに大きくないとかなんとか
バラエティー番組の貧弱なCGを使った再現ドラマですら正座してみてしまうくらいに強烈なこの事件、これを鬼畜な映画界が放っておくだろうか?
勿論そんな事はない!
とはいえ、これをそのまま映像化したら、
とんでもないハードスプラッター映画になってしまう!
ちなみに小説と漫画は幾つかある!
というわけで、この映画リメインズは
三毛別羆事件をベースにし
(正確に言うと吉村明の
『羆嵐』かな)
モンスターパニック!
娯楽アクション!
少女の復讐譚!
消えゆくマタギたちへの賛歌!
淡い恋物語!
という、
娯楽要素で惨劇性を薄めて再構成し
千葉ちゃん(
初監督作!)の剛腕によって
徹底して陽性なアクション映画としてまとめ上げたのでありました。
だからして、
素直に面白いんだよ。
お金を払ってみる娯楽映画として、過不足なく面白いんですよ!
でもね……
妙に歯痒くもある。
それは、例えば、
着ぐるみ感満載のクマが、この映画だと
これでいいや、って思えちゃうところでして
なんといいましょうか
色々要素をぶち込んだ結果、
これがやりたかった!ここが見せ所だ!
て、ものが消滅してしまっている感じがあるのね。
三毛別羆事件を題材にしているけれども、
強烈なゴア描写無し!
子供はちゃんと殺したし、血しぶきはバンバン上がるんだけど、如何せん、痛みが感じられない
二足歩行で襲ってくるクマとの最終アクション!
最後の闘い、屋根を破っておりてくるんだよね……まあ怪物クマだけどさ……でもなあ……
こんな感じだから、
クマへの恐怖ってのはあまり喚起されない。
淡い恋物語……は、
まあ、何となくうまくいった感じ?
うーん……恋愛っつーよりも友情物語に見えちゃうんだよなあ
消えゆくマタギへの賛歌、とか自然へのうんちゃらは、
尺も描写も弱い弱い!
これらのうち、どれか一つでも、もうちょっとだけ深く描写してくれてたら、もっと知名度が高い映画だったんじゃねーかなー。そつが無さすぎて、観ていて、強烈に没入できない。いや、
それを拒んでいるかのような気すらする……のは
言い過ぎだろうか?
……と文句を述べてみたけれども、
そう思うこと自体が、ちょっと失礼かなって感じちゃう
料理はちょっと不味いんだけど、従業員がみんな親切で、笑い声に溢れた飲食店
値段も手頃である
みたいな、こう、
「ああ、怒れないなあ」っていう映画なんだよねえ
というわけで、観てない人には、まずお薦めの映画。
ただ、クマ映画、パニック映画として見るとやや外れ
娯楽映画、としてどうぞ!
ところで大正時代にシベリアンハスキーって…
犬の名前がメルって…
1. 日本映画版熊怪獣